特集 ひろがる患者ニーズと看護・医療サービス
患者サイドの看護・医療サービスとは
濃沼 信夫
1
1東北大学医学部・病院管理学
pp.292-298
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901840
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はじめに
医療を医学の社会的展開であるとすれば,21世紀を目前にして,社会が大きく変貌を遂げている時,医療もまた社会の多様なニーズに対応した変化が求められている.病気を直して(回復力を増強して)差し上げることだけが医療ではなく,時に心の安心を求められ,不老長寿の秘訣を尋ねられ,また畳の上で死ぬことが望まれれば,これが叶うようできる限りの援助を行なうこと,これも今日の医療の重要な任務である.
すなわち,山の向こうにまた山があるように,医療のゴールは社会の求めに応じて常に変化し,進化してゆくものといえる.これは個々の患者や利用者の願望に,医療が迎合するという意味ではない.時代のニーズに応えるとは,医療がその優れた技術と思想をもって,社会や文化の発展により多く貢献することと言えよう.
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