けんさアラカルト
検査における患者サービスのありかた
田川 正和
1
1呉共済病院中央検査科
pp.424
発行日 1990年5月1日
Published Date 1990/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900118
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日本能率協会によるサービス満足度の調査結果は,次のようになっています.印象のよいベスト3は,①百貨店,②都市ホテル,③ガソリンスタンドであり,不快感を感じるワースト3は,①役所窓口,②タクシー,③病院となっています.不快感の理由には「接客態度が悪い」,「施設・設備の印象が悪い」,「使うのに不便」などの理由が挙げられています.病院に関しては,法律による規制や保護で守られているために自由競争がみられず安住が続いており,それがサービス低下につながっている,との理由です.ひと言でいえば,患者さんに対する努力・創意・工夫がないことへの表れでしょう.
病院・施設にはそれぞれ設立された目的があります.大学病院は教育・研究を主な目的としております.職員がその目的をしっかりと自覚して業務に当たれば,大学にしかできないサービスが提供できます.開業医は地元に密着してキメ細かい医療を行うことを目的としており,一般病院は大学病院と開業医との中間的役割を果たします.そうすることが効率のよい医療体系を作り上げ,よりよいサービスを生み出します.端的にいえば,大学病院が開業医の心構えで医療を行ったとしたら大学病院の特性はなくなり,患者サービスは存在しなくなります.
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