特集 新任看護婦のためのオリエンテーションプログラム再考
新人教育を1年受けて
酒井 美穂
1
1虎の門病院
pp.104-107
発行日 1991年3月15日
Published Date 1991/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901805
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
昨年4月,本当に看護婦としてやっていけるのだろうかという一抹の不安に,社会人になったという喜びの混じった複雑な思いで病棟に出てから,早くも1年になろうとしている.初めの数か月は慣れない病棟にいるというだけで緊張して疲れてしまったり,患者さんからの否定的な反応がショックだったり,技術的にも人間的にも未熟な自分に自信が持てなくて,「看護婦なんてとても1年間も続けられない」と友人と話すこともあった.しかし今から思えば,この1年は本当にあっという間に過ぎてしまった.右も左も分からない新しい環境の中で,褒められることよりも注意を受けることのほうが多く,怒られたり呆れられたりで悲しいこともあった.しかし「今年の私は先輩に何かを言ってもらうために病院へ行くんだ」と考えると,いろいろな場面でアドバイスしてもらえている自分の状況は幸運だと思えるようになり,「1年目は,とにかく何でも吸収しよう」と思った.
さて,どこの病院でも,新人看護婦が1日も早く独り立ちできるようにと,様々な院内教育のプログラムが用意されている.大学での臨床実習期間が短く,実習の中で体験した看護技術も少ない私は,卒後の教育に力を入れている,新人を大切に育ててくれるという条件を満たしてくれる病院を選び,恵まれた環境の中で看護婦としての1年目を過ごすことができたと思っている.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.