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はじめに
電子媒体機器の開発,医療技術や知識の高度化,包括医療による患者の在院日数の短縮などのため,医療施設の看護業務も複雑で高度な内容が要求されている。このようななか,主体的に看護業務を遂行するには,他専門職同様,看護学基礎教育の大学化が必要であり,徐々に進められているが,現行の看護職現任教育では,医師のような卒後研修制度も同様に,どの施設にも共通する卒後研修プログラムはなく,個々の医療施設の方針で工夫され実施されている。
日本看護協会の調査では,新人看護職員をかかえる病院は,新人育成は「医療・看護の安全に関する研修」が90.7%,「プリセプター制度の導入」が85.6%,「看護技術指導者の配置」が37.5%,「年度当初の一時的看護要員配置増」が22.9%の施設で実施していることを報告している。このように新人の教育は,大半の病院でプリセプター制度を主とするマンツーマン教育で実施されていると考えられるが,その実情には施設間格差があると思われる。したがって,この調査では,プリセプター制度を含め,看護技術指導などをマンツーマンで行なう新人教育が主流であると思われる全国300床以上の医療施設を対象に検討したいと考えた。
先行研究を検討したところ,看護系大学を卒業して医療施設に就職した新人看護師が,看護系大学で培ってきた教育基盤を活かして看護業務を遂行していく立場から,現状の「新人教育におけるマンツーマン教育」への考えや継続教育への要望について検討した調査はなかった。現在,どの医療施設にも共有できる標準化された基礎教育から継続される系統的および段階的な新人教育プログラムの開発が急がれるが,そのようなプログラムの基礎資料を得るために,まず新人教育プログラムの受け手となる新人看護師の意見を調査することとした。
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