特集 救急医療
救急医学教育
教育を受けるものとして
高山 宏
1
1札幌医大脳神経外科兼災害外傷部
pp.59-61
発行日 1975年3月1日
Published Date 1975/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205575
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はじめに◇
災害や急病は時と場所を選ばず発生し,しばしば重症となり患者の死に至ることも少なくない.したがって,患者発生と同時にこれらの患者を診療するシステムの完備は文明社会の義務であるが,現在の救急医療制度はそれには程遠く,従来より患者の側や医者の側からそれぞれの問題点がくり返し提起されているにもかかわらず,いまだに制度化すらされておらず,今や救急医療の貧困さは,‘医の倫理’で抗しきれない巨大な怪物になってきている.このような時期に救急医学会が設立され,その学会の場で救急医学教育問題をも含めた救急医療について真剣に討議されるようになってきたことは,まことに時宜を得たことであると考えられる.
救急医学教育—卒前,卒後教育—は救急医療の充実化にとって欠くべからざるものであるが,現在の救急医学教育は,教育と呼ぶにはあまりにも貧弱である.この貧困さの原因の一端は,今まで救急医学教育を無視してきたに等しい大学にあるものと思われる.
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