連載 amans惠道通信・23
主役
飯島 惠道
1
1東昌寺
pp.898-899
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901549
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●今井澄氏がめざした理想の医療
自分の人生を主体的に生きることができるのは,他ならぬ自分自身がそうしているからである。また,私に与えられた「生まれてから死ぬまでの命の時間」は,私だけのものであり,他の誰かに譲ることもできないし,他の人からもらうこともできない。故に「主体的に生きることができる」などという生やさしいものではなく,「主体的に生きざるをえない」と表現したほうが的を射ているかもしれない。このような事実を見極めることにより,人は自分の人生の主役になれるのだ。そして,人生の主役として生きることにより,人は真の実存を手に入れることができよう。
先日,以前私が勤務していた病院の原型を作ったとも言える今井澄医師が他界された。まだ六〇代前半であり,これからの活躍が期待されていた方であった。氏は亡くなるまで代議士として活躍されており,国会中継でも何度もその姿を見た。かつて全共闘時代には,学生運動の先頭をきっていたという。そして,社会に出てからは,住民が主役となった地域医療を築くため,故郷とも言える茅野市で地域医療活動にまい進されたのだ。氏の熱き思いに惹かれ,病院には思いを同じくする多くの医師が集まり,医療機関のみならず,地域の行政をも巻き込み,理想の地域医療の実現に向けてアクションを起こし続けた。
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