ゲラフに寄せて
主役は住民(撮影を終えて……)
末松 利成
pp.37
発行日 1970年3月10日
Published Date 1970/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204625
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撮影を終えてなにか救われたような気持であった。保健婦さんの「地域のなかにあって地域とともに…」という精神が気にいったせいかもしれない。考えてみるとこれこそは,たち遅れた社会保障制度や,福祉施設の諸関係のなかにもっとも必要なことではないか。また将来根をおろし,常識化しなければならないことではないか。こんにち関連ある諸公共機関は,おおかた閉鎖的か偽善的である。それにひきかえ,こうした,より外へ開いた姿勢,より人間的志向性は意義深いことである。
それにしても日常活動のけわしさは,至難の業であるかと。まだまだ解決しなければならない問題がわんさとひかえているはずである。また自然その活動はその社会の反映された問題のなかで規定されるゆえに,その風当りは一層つよく……いわゆる今日的"ひずみ"のしわよせが襲いかかってくる。—なんとか立ち向うべく奮闘を願ってやまない。
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