特集 患者が心を閉ざす時
心のケアはナースが主役
保坂 隆
1
1東海大学医学部精神科
pp.786-790
発行日 1991年9月1日
Published Date 1991/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900455
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はじめに
医療の現場においては,患者が心を閉ざしたとしても,創傷の治癒過程はさして影響を受けないだろうし,種々の検査は計画通りに進められるために,医師がことさら“患者が心を閉ざす”ことを問題視する場合は少ないと言える.
例えば,十分な説明もなしに検査,検査と続けている場合に,患者が不満を抱き“心を閉ざす”ことは,本来ならあってはならないことではあるが,程度の差こそあれ,比較的日常的に見られるものである.その場合,直接的な被害者は患者自身であるが,患者は見舞いの家族に八つ当たりすることもあるだろうし,訪室するナースにも八つ当たりすることもある.これは,本来なら医師に向かうはずの攻撃性が方向転換して,家族やナースに向けられたものであり,置き換え(置換)という心理機制である,この八つ当たりは次のようなさまざまな形をとり得る.
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