連載 迷える・悩める・このデータ・10
手術と検査の境界線はどこ?
星野 桂子
1
1国立保健医療科学院
pp.779
発行日 2002年10月10日
Published Date 2002/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901525
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看護業務量は患者の状態に左右されることから,患者調査は欠かせない。その際,手術と看護業務の関係を分析するために,患者基本情報の中の「手術の有無」および「術式」を調査する。同時に,調査日の業務量と患者の状態の関係を検討するために,当日実施された診療と看護も調査している。しかし,この2つのデータを見比べると,検査か手術かすっきり分けられないケースが出てきて,頭を悩ませる。
1万6343人の患者調査データ1)を集計した結果は,図のとおりである。狭心症と心筋梗塞の患者で,調査当日「PTCA(経皮的冠動脈形成術)およびこれに準ずるもの」が実施された場合を集計すると80名あり,この中で手術欄にPTCAまたはCAG(冠動脈造影)が記載されていたのは6名にすぎない。46名は,手術欄に記載があるが,当日の診療がない例である。手術欄に記載があっても調査日に手術が行なわれるとは限らないので,手術欄のみの記載が発生するのは当然である。しかし,当日診療に記載がある場合,その診療が手術と認識されれば「手術あり」に記載されるはずである。PTCAに準ずるものは,そのほとんどが手術のはずなのに,74名全てが「手術ではない」というのはおかしい。つまり,PTCAは手術と認識されない場合があると考えられる。生検も同様で,手術術式が生検とされた場合と,当日に生検が行なわれた場合を集計すると図のようになってしまう。
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