Japanese
English
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境界線療法の治験
TREATMENT WITH GRENZ-RAY FOR SKIN DISEASES
榊 明敏
1
Akitoshi SAKAKI
1
1鹿児島大学医学部皮膚泌尿器科学教室
1Department of Dermatology and Urology, Faculty of Medicine, Kagoshima University
pp.495-498
発行日 1960年6月1日
Published Date 1960/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202832
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I.はしがき
慢性皮膚疾患のあるものにレ線のいわゆる表面治療として電圧60〜80KVPの発生装置によるレ線治療が行われている。これは皮下1cmですでに50%のエネルギーが失われるため,深部の障害がないとされる。境界線は超軟レ線であり10〜20KVP程度の発生装置によるレ線で波長が著しく長く,そのエネルギーの大部分は皮膚表層で吸収され榊原4)によれば表皮下2mmですでに50%のエネルギーが失われるとされる。従って深部の障害は更に少く,レ線治療に伴う危険が少く手軽に取扱かえる利点のあるものである。
本装置はレ線等の窓材に使用するリンデマンガラスが本邦の気候では長期耐久性のない欠点のため普及しなかつたが,最近マイカの薄片を代用して同様の線質を出し得ることが知られ,本邦製の境界線装置が発売された。使用成績についても中野,伊崎,岩重らの報告があり,かなり優秀な成績をあげている。
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