連載 使いみちのない時間・7
境界
丈久 了子
pp.608-612
発行日 2000年7月10日
Published Date 2000/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902229
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何もかもが色を失ったような時間。そんな薄暮が保健センターの辺りを流れていた。
「学生さん,もう帰りましょう。レポートは明日提出してくれればいいわよ」
学生実習担当の佐倉に,そう声をかけられた2人は,黙って顔を見合わせた。しばらくして,紺のスーツを着こんだ,やや年上の学生が口をひらいた。
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