連載 シネ・プロフィル・3
信念の男ボギー
片場 嘉明
1
1厚生中央病院外科
pp.171
発行日 2001年3月10日
Published Date 2001/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901377
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バーグマンを想うと,おのずとハンフリー・ボガート,愛称ボギーへの想いが募る。ヒューストンの監督により見事に映像化されたハメット原作のハードボイルド小説「マルタの鷹」の探偵役で,彼はギャング俳優から永久に決別するきっかけをつかんだ。しかし,そのときすでに42歳になっていた。
その翌年,「カサブランカ」の主役の話が舞い込んできたとき,バーグマンは「マルタの鷹」を何度も見て研究したが,彼の人柄に一抹の不安を消しきれなかったという。しかし,撮影所で初めて会ったとき,印象は一変した。撮影前に,制作者が「ボガートにキスしたがる人間なんているかな」と言うと,すかさずバーグマンは「私がいるわ」と応えたという。一方,ボギーは大女優との初めてのロマンチックな役に戸惑っていた。そんなとき,友人から「君はなるべく動かず,彼女のほうから近づいてくるようにしろ」と言われ,唯一つのシーンを除いて助言どおりの演技をした。はて,そのシーンはどこか?その場面を探すのも,余韻が去ったあとの楽しみである。
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