映画の時間
—自らの信念と家族への愛だけでナチスに立ち向かった一人の男がいた—名もなき生涯
桜山 豊夫
pp.205
発行日 2020年3月15日
Published Date 2020/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209353
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第二次世界大戦前夜のオーストリア.山あいの小さな村,ザンクト・ラーデグントで農業を営む主人公フランツ(アウグスト・ディール)は,一目ぼれしたファニ(ヴァレリー・パフナー)と結婚し,子どもにも恵まれて幸せな生活を送っていました.1938年,ナチスドイツによるオーストリア併合が国民投票によって承認されます.敬虔なカトリック教徒であったフランツはヒトラーに反キリスト的な思想を感じて不安になりますが,村長はじめ村人の多くは併合に賛成の様子です.
映画の冒頭で,ナチスドイツでは,徴兵された者はヒトラーへの忠誠を宣誓することが義務付けられていることが紹介されますが,フランツはヒトラーへの忠誠を誓うことが,神の意志に違うのではないかと悩みます.1939年にドイツ軍がポーランドに侵攻し,第二次世界大戦が始まります.
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