連載 ケアの質とスタッフ配置のための研究・4
米国プロビデンズ病院での患者分類システムによるスタッフ配置の実際
住吉 蝶子
1
,
竹谷 美穂
2
,
山崎 慶子
3
1札幌医科大学保健医療学部看護学科
2厚生中央病院看護部
3東京女子医科大学病院看護部
pp.755-762
発行日 2000年9月10日
Published Date 2000/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901280
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はじめに
前回(本誌7月号)では、米国における患者分類システム(PCS)の歴史的背景について述べた。 米国の病棟管理者は自分の病棟の目標を達成していくために必要とされるスタッフ配置とその人事予算の作成を行ない,病棟目標の実践展開をしていくという大きな責任を担っている。スタッフ配置の計画と実施にあたっては,スタッフの数はもとより,看護ケアの質,ケア効果,患者やスタッフの安全性,生産性の向上,ケアコストの調整という病棟運営上の重要な要素を十分に検討した上での必要条件を1日24時間,そして365日を通して保持していくことを考えていかなくてはならない。
従来から,1人ひとりの患者に質の高い看護サービスを提供していくことが要求されてはいるが,ケアサービスのコストについて看護者に焦点が当てられ検討されることはほとんどなかった。看護サービスが,ハウスキーピングサービスと同様に室料に含まれていた時代には,病院の入院患者の数を取り上げ,患者何人に対し看護者何人という割合でスタッフ数を割り出してきた。しかし,これでは,患者1人ひとりのニーズに合わせたケァを提供することはできない。したがって,個々の患者のニーズに焦点を当てた看護者必要数の算定をする患者分類システム(PCS)の開発とその活用は,看護のスタッフ配置の仕方に大きなインパクトを与えた。
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