特集 二交替制導入を前に
深夜労働が心身に及ぼす影響と管理者に求めたいこと
廣瀬 俊雄
1
1仙台錦町診療所・産業医学健診センター
pp.270-279
発行日 1997年4月10日
Published Date 1997/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900630
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はじめに
「深夜労働の有害性」については,私の25年ほどの臨床活動,さまざまな健診活動,そして産業医・産業保健活動を通じて,今最も強調したい点の1つである.
1978(昭和53)年に,日本産業衛生学会は,深夜業と交替制勤務の導入自体の法規制を勧告した1).とりわけ経済的理由によるものの禁止を主張した.この提言は,現在でも決して死語ではないはずである.しかし実際には,この勧告は有効に働かず,この頃より夜勤はむしろ急速に広がり,今や「夜眠ることが大切」という考え自体が困難に直面しているのが現実である.例をあげれば,「深夜型都市に変身を(東北開発研究センター)」「夜は眠るためにあるのではない(リフィル通信)」との訴えがなされ,ジャーナリストの中には「平均睡眠時間の最も短い沖縄では,平均寿命が最も長い.青森がその逆.夜は眠るな」と力説する人すらいるのである.
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