調査研究
看護における機器の開発と普及の現状・課題―(その1)機器の利用状況
菅田 勝也
1
,
綿貫 成明
1
,
國岡 照子
2
,
田間 惠實子
3
,
小島 百合
4
1東京大学医学部健康科学・看護学科
2川崎市立看護短期大学
3前日本看護協会
4東京大学大学院医学系研究科修士課程
pp.742-747
発行日 1996年10月10日
Published Date 1996/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900408
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はじめに
研究の背景
ベッドサイド・ケアの大部分は人の手によらなければならないが,看護業務の中には機器を使用することが適当な部分もあり,それによって業務を省力化できる場合も多い.機器の導入によって看護要員の身体的負担の軽減や業務の省力化を図ることは,看護業務改善の1つの柱とされている.省力化によって生み出された時間は,よりきめ細かな患者への配慮と看護へ振り向けることが期待される.また,障害者の自助具や介護機器を医療の場に導入することで,患者の自立を促し,QOLを向上し,かつ看護者の負担を軽減できるという期待もある.
看護の場に機器を導入することには,以上のような期待がある一方,開発・導入を阻害する要因も多い.まず第一に,看護は本来個別性が高いサービスで,機器の利用者の特性とニーズは多様である.そのために,看護関連の機器は多品目少量生産にならざるをえないので採算性の問題が生ずる.したがって,商品化されても高額であれば普及しにくいという面がある.また,看護業務用の機器や用具を購入するよりも人手の方が安いという見方をする病院経営者も少なくない.さらに,看護者自身の中に,看護は看護者自らの手で行なうべきものであり,安易に機械を使用すべきではないという思いが根強くあることも否めない.
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