特集 技術革新と競争激化―特定保険医療材料の今後
医療機器流通の現状と課題
松田 晋哉
1
1産業医科大学公衆衛生学教室
pp.657-662
発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100993
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医療をめぐる経済状況の悪化により,医療費増の抑制が課題となっている.このような状況下,医療材料・医療機器の価格についてもその適正価格についての議論がある.わが国の医療材料・医療機器の流通については,以前より内外価格差の問題や,国内価格の設定方法のあいまいさなどが問題視されてきた.また,卸業におけるコストの主体となる物流コストは製造コストなどに比較して変動費部分が多く,いわゆる管理可能費部分が大きな割合を占めるため,コストマネジメントによる管理が有効である.ところが,医療機器関連産業,特に医療関連卸業は,中小企業が多いこともあり,これまで科学的な物流コストマネジメントが十分行われていない現状もある.その意味で物流の効率化により医療材料・医療機器にかかわるコストを圧縮することは可能であろう.
しかし,その一方で流通加工,SPDなどの院内物流の代行,医療材料の委託・貸出し,医療機器の保守・管理,廃棄物処理あるいは多額の売掛金の発生など,本来医療施設が持つべきコストおよび財務リスクを医療機器関連産業が附帯業務として代替しているという問題点も指摘されている.
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