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はじめに
看護職は患者を24時間継続してケアするため,夜勤とは切っても切れない関係にあります。夜勤があると,一般的に規則正しい生活と言われている日中に起きて活動をし,夜間に眠るような生活を送ることが困難になります。このような夜勤を伴う交代制勤務の看護職への影響は,睡眠不足などの睡眠問題だけでなく,心身へ多くの影響があることが報告されています1)。
さらに,夜勤中の睡眠不足によって疲労や眠気が生じると,認知機能が低下します2)。本連載の第3回で世界を揺るがす産業事故は,夜間就業時の眠気や睡眠不足に関連して発生しているとありましたが3),看護師による針刺し事故や薬剤関連事故とも関連することが示唆されています4,5)。
日本看護協会は2013年に「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」を発刊しました6)。その中で,夜勤中に連続2時間以上の仮眠を取ることを検討するよう記載されています。また,仮眠の効果として,❶疲労回復と明け方の眠気解消,❷生体リズム維持,❸生活時間の有効活用,❹長期的に夜勤を続けた時の健康影響を防ぐ,の4つを挙げています。
さらに,日本看護協会は2021年に,「就業継続が可能な看護職の働き方の提案」として,夜勤負担,時間外労働,暴力・ハラスメント,仕事のコントロール感,評価と処遇の5要因10項目を周知しました7)。このうちの夜勤負担の項目の1つには,「仮眠取得の確保と仮眠環境の整備をする」が提示されました。加えて,1回の夜勤の拘束時間が長い二交代制においては,60分以上の休憩時間の他に60〜90分のまとまった仮眠を取ること,さらに三交代制の夜勤においても,特に深夜勤における明け方の眠気覚ましや事故防止のために,休憩時間中に15分程度の短時間の仮眠を取得することが有効であると記載されています7) 。
このようにガイドラインでは夜勤中に仮眠を取得することを推奨しています。一般的に,仮眠(nap)とは,その人の平均睡眠時間の50%以上短い睡眠として定義されています8)。しかしながら看護職の場合,上記のような60〜90分や2時間など提案が多様であるために,どの値を目安にしたらよいのかエビデンスが不明確で悩むところです。そこで,この解決のために必要なこととは何か?を考えてみたいと思います。
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