連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・206
孤高な詩人の人生への哀感
柳田 邦男
pp.1122-1123
発行日 2023年12月10日
Published Date 2023/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686202557
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ここに取り上げる2冊の絵本は,絵本としては異色の作品だ。異色とは,幼い子が手に取って楽しむようなものとは文章も絵もずいぶん違っているという意味だ。まさに「おとなのための絵本」と言ってよいだろう。いや,絵本を超えた文学性の高い詩画集に近い作品と言えるだろう。
特に『ちいさなタグボートのバラード』は,タイトルの響きからして,文学的な気配が漂っている。文は今のロシアが社会主義国家ソ連だった時代にアメリカに亡命した詩人ヨシフ・ブロツキー氏が22歳のときのデビュー作。
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