随筆
沈默の詩人
深尾 須磨子
pp.42-44
発行日 1955年8月15日
Published Date 1955/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909894
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人間が年をとりはじめると,植物に関心をもち,植木いじりをしたり,花作りに熱中したりするようだ,と日本のある老詩人がかいている。そしてその詩人の近作の詩には,じつにたくさんの植物が登場する。
私という人間が山奧の生れであるせいかどうか,私の植物熱はすでに子供時代からのものであつて,それが年と共にますますこうじてきたかに思われはしても,年をとつたから植物が好きになる,という立場でないことだけはたしかだ,と思うのである。
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