特集1 引き継ぎ時間短縮から労働環境の改善につなげる
引き継ぎ時間短縮は,何のために行なうのか―3年間の残業削減への取り組みから
鈴木 正子
1
1刈谷豊田総合病院 看護部
pp.449-452
発行日 2011年6月10日
Published Date 2011/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102063
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はじめに
引き継ぎ時間の短縮・廃止が注目され,当院でも20数年前から取り組んでいた。ところが実際に廃止していたのは看護部で重点実施項目にあげて取り組んだ数年にすぎなかった。
勤務交代時に患者情報を口頭で報告する申し送り(以下,申し送り)を短縮・廃止した結果,ベッドサイドへ行く時間が早くなり,ナースコールの減少など患者への満足度が向上などの効果があった。しかし,申し送りがないことで,患者の情報を得るタイミングを逸し,就業時間前の情報収集が当たり前になっていった。当院は2交替制の勤務シフトであり,夜勤は16時間勤務である。出勤時間が早くなることで実質勤務時間は18時間にも及ぶ。こんな状態が当たり前の職場環境では,看護師の確保に大いに影響があると危機感をもった。残業削減を考えるとき,就業後残業だけでなく,就業前残業も削減せねば真の問題解決とはいえない。
「申し送り短縮」は何のために行なうのか,3年間の残業削減への取り組みから改めて考えたい。
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