特集 授業にゲームを
教育に役立つ「シリアス」なゲームとは何か?
福山 佑樹
1
1明星大学明星教育センター
pp.372-377
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200978
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ゲームと教育・医療の関係とは?
皆さんは「ゲーム×教育」,または「ゲーム×医療」と聞くとどのようなイメージをもつだろうか。筆者はこれまで教育の現場に携わってきたが,ゲームは教育現場において「真剣でない,授業や勉強を邪魔するもの」という印象をもたれることが多い。医療の分野に目を向けてみるとどうだろうか。つい先日,WHOがゲーム依存症を「Gaming disorder」として,国際疾病分類に盛り込む方針であるというニュースがあった1)。こちらなどは「ゲームばっかりやっている」ことは病気であると認定したようである。筆者もゲームに限らず,「他の何かに支障が出るまで,1つの何かに没頭するのはあまり褒められたことではない」ことには同意する。ご家庭においても「ゲームばっかりやってないで!」という小言を言われたことがある方・言ったことがある方も多いのではないだろうか。
しかし,「ゲーム」とは本当に何の役に立たないもので,病気の原因になるだけの「悪いもの」なのだろうか。実はエンターティンメント用であっても,ゲームは「簡単には乗り越えられない挑戦的課題」をプレイヤーに与えている。イェスパー・ユール(Jesper Juul)によれば,ゲームをプレイすることは「挑戦的課題を乗り越えるためにスキルを向上させる活動であり,それゆえに根本的にある種の学習経験」2)とされており,実はゲームのなかには「役に立つ」ことを目的につくられた「シリアスゲーム」と呼ばれるゲームが存在する。本稿ではこのシリアスゲームについて,その実際を紹介する。
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