連載 しなやかに家族を看護するスタッフに育てよう・3
グループワーク研修①―難しい家族とリラックスして話せるようになる
山崎 あけみ
1
,
津村 明美
2
1上智大学総合人間科学部看護学科基礎看護学
2静岡県立静岡がんセンター
pp.892-895
発行日 2012年9月10日
Published Date 2012/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102571
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臨床場面
看護師N子は,右大腿骨頸部骨折で入院したAさん(90歳女性)の子どもたちのことで悩んでいた。これまでは,長男夫婦(70代)と同居し,かろうじてADLは自立していたAさんだったが,手術後,筋力が低下し,認知症も進行し,退院後のことについて話し合いが必要だった。長男夫婦は,「4人兄弟なのに,自分たちだけですべての世話をしている。もう限界だ。施設に入れたい」といい,三男と長女は「長男夫婦がしっかりみてほしい」と不満をいいながらも支援はできないという。入院してから2週間後のカンファレンスでは,兄弟が感情をぶつけあうだけだった。N子の調整で,なんとか,療養型に1か月入院してリハビリを継続し,再度話し合うことで合意した。Aさんは,「家に帰りたい」という強い思いを示すが,徘徊もあり,長男の妻も膝手術後で経過観察中だった。
他の子どもたちも高齢で事情もあるのだろう。しかし,せっかく4人も子どもがいて,みな長寿で,母親のことを思い,カンファレンスにも来るのだから,次回には,なんとか建設的に話し合えないものだろうか。
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