連載 快適な療養生活のために―生理人類学への招待・11
音楽のリラックス効果
畠山 英子
1
,
宮崎 良文
2
1東北福祉大学感性福祉研究所
2森林総合研究所
pp.147-152
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901450
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はじめに
現代はストレス社会と言われますが,人はこの社会のなかで快く生きるために,各人各様の工夫をしています。ストレス状態から自分自身を解き放ち,リラックスした状態になるためのいろいろな試みのなかでも,最も日常的に,容易に,自分流に,しかも効果的に行なえるものとして音楽聴取が挙げられます。著者らの調査では,青年たちは精神的疲労を緩和するために,1日あたり約3時間も音楽を聴いており,音楽を「こころの栄養」という意味合いで捉えていることが分かりました。店頭でもヒーリングミュージックコーナーでの売れ行きはすこぶる好調であるとのことです。
このような環境のなかで,人におよぼす音楽のリラックス効果について,生理人類学的視点から考えてみることは非常に意義深いことと思われます。看護や介護においても音楽療法につながる基礎的情報を把握することは大切です。音楽療法には「聴取」と「演奏」という観点から「受動的(受容的)音楽療法」と「活動的音楽療法」がありますが,前者は音楽を聴くことによる情緒・行動の変容を目的として,後者は器楽演奏,歌唱,即興などを同様の目的のために用い,個人または集団を対象にして行なわれます。音楽療法の有用性については特に医療の場での受動的音楽療法に関する臨床報告が数多くなされています。
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