連載 つらつらNPノート・3
在院日数の隔たりから一考
鈴木 美穂
pp.497
発行日 2011年6月10日
Published Date 2011/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102078
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私は日本では骨髄移植患者のケアに携わったことがなかったので知らなかったのだが,この前,日本の骨髄移植の病棟に勤務する看護師と茶飲み話をしていて大変驚いた。日本では骨髄非破壊的前処置による同種造血幹細胞移植(ミニアロ)注)の場合でも,患者は移植後およそ70日間の入院をしているという。私のニューヨークでの経験ではその移植タイプの場合,移植後およそ15日で退院する。生着の具合や合併症の有無によって長引くこともあるが,移植後15日での退院は可能な目標としている。それを目指して問題が起きないよう注意深くケアをし,退院後に必要なケアについて患者教育をして心構えをしてもらう。
15日と70日ではあまりに差が大きい。日本人は欧米人に比べて体力がないのもたしかだろうが,2か月余りの入院中のケアとは何なのだろうか。もちろんニューヨークの患者も退院したとはいっても,買い物に出かけたり,食事の準備をしたり,掃除,洗濯などをすべて自立して行なうことは体力的にも大変だろう。その負担は家族や友人,有料ヘルパーなどの地域資源に頼ることとなる。それでも脳外科などの患者と違って,多くの骨髄移植患者のADLは自立している。日本でも彼らの医療的ケアは外来診療が可能なはずで,そうなると,入院中のケアはむしろ介護的,精神的なサポートが中心になっていると想像される。
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