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はじめに
近年,平均在院日数の短縮に伴い急性期病院の機能は大きく変化し,それに伴い従来の看護マネジメントの手法では,もはや対応は困難なものとなっていると思われる。この10年間の診療報酬改定や医療法改正,DPCに基づく包括支払制度の導入などは,わが国における医療費の抑制に向け,急性期病院に在院日数の短縮を大きく促すものであった。
例えば,2000(平成12)年の診療報酬改定で創設された「急性期特定病院加算」は,算定要件として,平均在院日数20日以内が打ち出された。さらに,2004(平成16)年の診療報酬改定では「急性期特定病院加算」に「急性期入院加算」が加わり,これらの算定要件の一つとして平均在院日数が17日以内であることが示された。2006(平成18)年には,これらの加算は廃止されたが,「入院基本料7対1(従来表記1.4対1)」が新設され,この基本料の取得に向けて,看護師の雇用を増やし,平均在院日数を19日以内に目指す病院が急増した。
このような動きは,高齢者患者や重症患者の増加による業務が繁忙化している中で起こり,病床回転率の上昇や看護ケア密度の増加に伴う看護へのさまざまな負担に対する対応をより複雑なものとさせた。
この背景を受け,2008(平成20)~2010(平成22)年度に「厚生労働科学研究:質効率向上と職業間連携を目指した病棟マネジメントの研究(主任研究者:長谷川敏彦)」の一環として,在院日数短縮に伴う急性期病院の看護機能への影響やその対応策を把握するために,急性期病院62施設の917名の看護管理者を対象に調査(以下,本調査)を行なった。
本稿では,この調査結果を踏まえ,この10年で急性期病院の看護機能がどのように変化したかを概説するとともに,質が高い効率的なケア提供を可能にする,これからの看護マネジメント手法のあり方について検討する。
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