書評
『ケースブック患者相談』
鈴木 久美子
1
1山梨大学医学部附属病院
pp.1029
発行日 2010年10月10日
Published Date 2010/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101879
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患者対応に苦慮する医療者にとって導き手となる一冊
患者相談業務に欠かせない知識・技術を備えた実践書
本書は,東京大学医学部附属病院患者相談・臨床倫理センターが過去3年以上の患者相談業務(年間3000件以上)の実績をもとに,看護師,医療事務職,医師,法律家,倫理学者などそれぞれの専門家が知識を結集させ,多面的な角度から,一つひとつの事例に対応した知見を収録したものである。
2002(平成14)年に厚生労働省から「患者の苦情や相談等に対応するための体制の整備」が提言され,全国の医療機関に患者相談体制が積極的に整備されるようになった。そこで,今では多くの医療機関が患者相談窓口などを設置し,日々直面する相談や苦情に丁寧に対応し,患者満足度の向上に取り組んでいる。しかし,患者のなかには過度に感情的な態度をとる人や思い込みなどで解決のための話し合いができない人も散見され,患者相談に携わっている医療関係者は対応に困惑した経験があるだろう。本書は,そんな医療関係者を救世してくれる待望の実践書である。
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