特集 公衆衛生とエイズ
エイズ相談—血友病患者に対する相談指導
長尾 大
1
Takeshi NAGAO
1
1神奈川県立こども医療センター小児科
pp.667-669
発行日 1988年10月15日
Published Date 1988/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207787
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■はじめに
カウンセリングと教育は,エイズ対策上最も重要な位置を占めていると,エイズ先進国である欧米では言われている.カウンセリングの日本語訳は,相談あるいは指導相談が最も近いようである.臨床心理担当員,ソーシャルワーカー,MSW(医療社会事業員),保健婦,その他多くの方々がこの分野で働いておられる.しかしながら,エイズに関する専門的カウンセラーはわが国ではまだ育っていないのではないかと思われる.まして,血友病のHIV感染者に対する専門的カウンセラーは,これから鋭意育成されていくのではないか,カウンセリングについては素人に近い我々もそのために大いに努力しなくてはいけないのではないか,と思っている.本年8月には厚生省の努力により,WHOのエイズカウンセリングに関するワークショップが東京で開かれる.今回は,特に血友病を中心としたワークショップと聞いている.この会議の成果をもとに,わが国におけるカウンセリング事業が,大きく発展することを切望している.
本稿では,血友病の包括医療と血友病におけるHIV感染症について概説し,第一線の公衆衛生従事者への参考になれば,と願っている.
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