特集 健康相談
患者心理と健康相談
戸次 澄美子
1
1実踐女子大学
pp.37-40
発行日 1962年8月10日
Published Date 1962/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202631
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健康相談に対する考え方について大別すると,すでに,保健所,診療所などで行なわれてきた健康上の問題や異常に対する指導・疾病の療養指導などが中心となつた専門家から被指導者へのコンサルテーシヨン(指導)と,健康問題に専門的知識をもつカウンセラーによつて行なわれる健康上の悩みとか,迷いに対して相手と同じ立場で支援し助言を与え,健康生活の回復と増進に寄与する保健カウンセリングとが考えられる.現状では特に前者の立場で健康相談を行なつているものが殆どであり,相手の立場にたち,相手の心理面,社会面を含めた日常生活全般にわたつてのなやみを聞き,相談者自身でその問題を自ら解決することができるよう支援するという考え方は,今迄あまり考えられていなかつたように思われる.
健康という概念は,すでにWHOの憲章の健康の定義の中に「肉体的,精神的,ならびに社会的に完全な良好な状態であつて,単に疾病や虚弱がないということではない」と言つているが,変化する生活環境の中にあつて,問題や障害があつても適応異常をおこすことなく,むしろ積極的に調和してゆく能力を持ちうると共に,更には人格の生長にまで高められることが望ましい.
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