インフォメーション 新しいナーシングケアのために
尊厳死
清水 昭美
1
1大阪大学医療技術短期大学部
pp.1223
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919988
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尊厳死とは,もともと‘Death with dignity’の訳語である.一般に使われ始めたのは,カレン裁判以後である.カレン裁判は,1976年,米ニュージャージー州のカレン・クインランさんの‘死ぬ権利’を養父母が主張して起こした.カレンさんは,1975年4月,パーティーで薬とアルコールを飲み,昏睡状態に陥り,‘植物状態’になった.体重は減り,器械で生きているカレンさんを見て,両親は,生命維持装置を外し,ゆかしさと尊厳をもって(with grace and dignity)死なせることがカレンさんの幸せではないかと訴えた.
人間は,尊厳をもった死を迎えたいとはだれもが願うだろうが,‘自分が“これでは尊厳をもった死を迎えられない”と考えたら,死に方を選んでよい’と社会が承認すべきかどうか.そのことが,当初から議論を呼んできた.
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