昨日の患者
尊厳死
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.1463
発行日 2013年12月20日
Published Date 2013/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104887
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命は地球より重く,最後まで救命を尽くすことが医療従事者に求められている.一方,癌の末期で治療の施しようがなくなった場合は,いたずらに延命処置を行うのではなく,尊厳死が尊重される時代になりつつある.しかし,患者自身そして家族にとって尊厳死の選択は,いまだ難しいことである.自分自身で尊厳死を選択した患者さんを紹介する.
80歳代前半のOさんが上腹部不快感を訴えて来院した.腹部CT検査を行うと腹腔内に多発性リンパ節腫大を認め,腹腔鏡下に生検を行うと癌の転移であった.原発巣が不明なため更なる精査を勧めたが,検査,さらには癌化学療法さえ拒否した.そして自宅での療養を希望し,早期に退院した.
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