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はじめに
太田西ノ内病院(以下,当院)では,毎年70~80名の新人看護職員が入職している。その教育のために,看護部教育委員会を中心に,経験年数別の集合研修を行なってきた。しかし,看護師個々の育成は,配属先の看護師長の考え方や教育方法に任せてあったため,計画的に育成している看護師長がいる一方,業務さえできるようになればよしとするなどさまざまであった。そこで,2003(平成15)年に「キャリア開発プログラム」を構築し,それに沿った人材育成を開始した。
このキャリア開発プログラムは「平等な人間愛とかけがえのない命を大切にする」理念のもと,「看護実践サービス」「マネジメント」「人間関係」「指導・教育」の4つの能力を4段階に分けて,段階別に到達目標を設定し,「状況に応じて適切に判断し行動できる」「責任をもって行動できる」「主体的に行動できる」看護師の育成をめざすものである。そして,4つの能力が到達目標に達したかどうかの評価の時期を,看護師個々が自ら申請して行なうことにし,個々のライフスタイルに合わせることとした。キャリア開発による段階別の到達目標が示されたことは,個人,所属,看護部が同じ目線で成長の過程が見えるものとなった。ただし,主体性を重視した自己申請によるため,申請がなければそのままになってしまうという弊害もあった。
看護師としてのキャリア形成を考えたとき,一人前になるまでの卒後3年間は,とても大事な時期であり,特に看護師として働き始めたときに見た看護や指導されたことは,一生残るものである。こうしたジレンマを抱えていた2009(平成21)年に,保健師助産師看護師法の一部改正によって,「新人看護職員に対する卒後臨床研修制度の努力義務化」が決まったことを契機に,当院では新人看護職員研修の内容を検討することにし,新たに「卒後・継続教育検討プロジェクトチーム」を発足させ取り組んだ。本稿ではその具体的な取り組みを報告する。
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