連載 続・なぜ看護政策を学ぶのか?・4
新人看護職員研修の推進
田村 やよひ
1
1厚生労働省医政局看護課
pp.1088-1092
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100184
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はじめに
どの時代,どのような職業であれ,新人は存在する。看護職員においても同様で,基礎教育で培われた能力をもとに,新人は先輩たちにきたえられながら,そして新人自身も昼夜を分かたぬ努力を重ねて,ようやく「一人前」に成長していく。「一人前」への成長の過程は人それぞれである。かつては,その成長を少なくとも現代よりはゆっくりと見守ることができたのだろうと思う。しかし,今日では医療を取り巻く環境の変化が大きく,新人であっても,早い時期から高いレベルの看護能力が求められている。根拠にもとづいた看護ケアや患者の個別性の尊重はむろんのこと,安全性の確保と手際のよさといった背反しかねない看護の提供までもが,新人看護職員にも期待されているのが実態であろう。
一方,新人が学生時代に経験する臨地実習においては,1人の患者の受け持ちがほとんどであり,そのため優先度の判断を含む多重課題への対応や他職種との連携などの経験が乏しい。また,学生時代は当然のことながら看護師免許がないため,侵襲性の高い診療の補助行為については,学習の機会が制限されているという実態もある。このため,新人を採用した病院では,看護サービスの質を保証するため,それぞれ独自に新人看護職員研修(以下,特に断りのない限り,新人研修とする)に取り組んでいる。
本稿は,このような背景をふまえて,この数年間,厚生労働省で取り組んできた新人研修関連の内容を紹介するとともに,新人をめぐる状況を看護管理者・教育者と共有して,新人研修の制度化に向けた検討のための基盤にしたいと考えている。
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