特集 新卒1年生の居る病院
新人看護職員のための研修プログラムの現況
竹尾 惠子
1
1国際医療福祉大学保健学部看護学科
pp.1038-1042
発行日 2007年12月25日
Published Date 2007/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100821
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はじめに
看護学校や看護系大学で看護学の基礎学習を終えたばかりの新人看護職員にとって,臨床の場は厳しいものです。多くの新人は,自分の知識や技術力の不足を感じ,多忙な医療場面のなかで不安と緊張の日々を過ごしています。一方,臨床サイドからは,新人看護職員にはそのままでは危なくてケアを任せることはできない,基礎教育でもっと臨床技術を身につけてほしいという声が聞かれます。また,教育にあたる側は,決められた時間内に多くの教育すべき内容があり,精一杯指導していると感じているのです。
こうして,卒業時の新人看護職員の臨床能力と,臨床が期待し,あるいは臨床で実際に求められる看護能力との間に大きなギャップが生じます。この状況をどのように改善していくか,新人看護職員の臨床看護能力(技術や知識・態度)の向上が,大きなテーマとしてここ数年取り上げられてきました。
臨床サイドでは,1日も早く一人前の看護職として,独立して,安全に,適切な看護を実施できるようになることを期待して研修の立案・実施に努めていますが,こうした研修がどのような教育環境のもとに行われているのか,今後,新人の研修を義務化したり制度化したりした場合に,それはどのような教育環境で可能かといった疑問に突き当たります。研修施設がそれなりの条件を備えていなければ,適切な研修の実行は困難になります。
筆者らは平成16~18年の3年間に新人看護職員の研修を実施している病院の現状を調査しました。その結果のいくつかを紹介しながら,これからの新人研修のあり方を検討します。
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