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はじめに
看護師長が行なう看護管理というと誰もが思い浮かべるのは,ナイチンゲールの『看護覚え書』の「小管理」であろう。“病院と個人の家の両方において,だれが担当者であろうとも,この簡単な問いかけを頭に入れておいていただきたい。それは(この適切なことを私はどうすればいつも私自身で行うことができるだろう,というのではなく),どうすればいつも私はこの適切なことがいつも行われるようにできるだろうか,ということである”1)。
このように看護師長は,24時間患者へ提供する看護に責任をもち,継続的で一貫性のある看護を提供するために組織化を図る役割を担っている。組織化とは,計画実施のために,資源(人的資源,物的資源,財的資源,情報など)を配置し,責任や権限を区分・委譲して,目的達成のために有効で効率的な組織を編成することである”2)。
看護師長は,病棟や外来などの一看護単位の責任者であるだけでなく,看護部長から権限を委譲され,看護部全体の看護の質を確保するためにマネジメントし,患者によりよいケアを提供できる人材を育成する役割をもっている。
済生会山形済生病院(以下,当院)では,看護師長・副看護師長たちが看護単位だけでなく,業務委員会や教育委員会などの委員会で,看護の質向上をめざしてPDCAサイクルを回している。当院において,看護師長は,患者に提供する質確保の責任者として提供している看護ケアの質の評価をどのようにし,組織化を図っているかについて,考えてみたい。
また,当院では,看護単位責任者や看護部の委員会委員長の役割を,看護師長だけでなく副看護師長も同じく担っている(p675,川村氏の組織図を参照)。そのため,本稿では副看護師長を含めて看護師長として表現しているところもあるので,ご了承願いたい。
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