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はじめに
2007(平成19)年4月のがん対策基本法の施行により,がん医療とともに緩和ケアについての社会の関心が高まっている。以前は治療中の患者から「緩和ケア」という言葉が聞かれることは少なかったが,筆者がボランティアで参加している「がんを知って歩む会」の参加者から「緩和ケアというのはがんの治療を始める初期から関わるほうがよいと聞いたが,どこの病院ならそのような緩和ケアが受けられるのか」といった質問を受け,メディアの力と人々の関心の高さを感じた。しかし,このように期待が高まる一方で,医師や看護師不足の現場では専任の医師や看護師の確保が難しく,緩和ケアを充実させたいがチームメンバーは兼任で活動せざるを得ない,などのジレンマを抱える急性期病院の緩和ケアチームも多いのではないだろうか。
市立池田病院(以下,当院)もそのひとつである。現在,緩和ケアチームがコンサルテーション活動を行なうようになって3年が経過した。緩和ケアチームとは,緩和ケア医,精神科医,緩和ケアに関する教育を受けた専従看護師の3名がチームを組み,一般病棟で緩和が困難な身体症状・精神症状をもつ患者に対する直接的ケアおよびコンサルテーションを行なうチームである1)。一定の条件を満たせば緩和ケア診療加算が申請できる。急性期病院の機能を果たす当院では,緩和ケアを定着させ,WHO除痛ラダーに沿った疼痛治療ができるよう,支援・教育することが最優先課題であった。緩和ケアチームの活動はその課題への取り組みとともに発展してきた。緩和ケアチームとしてはまだまだ未熟ではあるが,当院の緩和ケアチームの発展における看護師とがん看護専門看護師(以下,OCNS)の役割,そして急性期病院における緩和ケアの質確保について述べたい。
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