特集 医療の規制改革と病院
雇用の確保に医療の果たす役割
鴇田 忠彦
1
1一橋大学大学院経済学研究科
pp.27-31
発行日 2002年1月1日
Published Date 2002/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903451
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日本の政治史上おそらくはまれと思われる高い支持率を得て発足した小泉政権は,構造改革を掲げて,財政改革や規制緩和に精力的に取り組んでいるようである.それらは以前から多くの人々に提唱されながら,従来の政権の下では聖域とされて,郵政事業や道路公団などの民営化などをはじめ,ほとんどの改革は困難であるとされてきた.それはいうまでもなく,これらの事業に関係する官僚を含めた人々は,強力な政治的圧力によって政府与党に影響力を行使し,政治家もまたそのような関係を積極的に形成することで,支持基盤を固めてきたからである.
あるいは極言すれば戦後日本の政治機構は,わずかな時期を除いて,各種の規制によって発生する既得権益を追求・維持・拡大するrent—seekingと,それを再配分することを,その主たる役割としてきた.したがって皮肉なことに小泉政権の最大の敵は,野党でなくむしろ与党内部であり,ほとんどの与党の政治家はいわゆる族議員として,これまでの選挙で既得権益の擁護によって支持されてきたのである.
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