連載 病院のことばとコミュニケーション――ポライトネス・ストラテジーの視点から・2
[座談会]病院の会話の可能性と現状の問題―患者・家族と医療者が良好な関係を築くコミュニケーションの工夫
安井 はるみ
1
,
吉岡 泰夫
2
,
道端 由美子
3
,
西﨑 祐史
4
,
橋本 久美子
5
1神奈川県看護協会医療安全対策課
2国立国語研究所研究開発部門
3済生会熊本病院看護部
4聖路加国際病院腎臓内科
5聖路加国際病院総合医療相談室
pp.117-124
発行日 2009年2月10日
Published Date 2009/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101413
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医療コミュニケーションへの関わり
安井 今日は,連載「病院の言葉とコミュニケーション」の一環として,異なる立場の方にご出席いただき,患者さんと医療者がこれから良好な関係を築いていくためにはどのようにしていけばよいのかについて考えたいと思います。最初に自己紹介を兼ねて,言葉やコミュニケーションに関するご自分の関心事や取り組みについて教えてください。
吉岡 私は言語学のなかでも社会言語学という分野を専門にしており,なかでもコミュニケーション論は最も得意とするところです。今日のテーマに関連する研究として,1つは医療の専門用語を分かりやすく伝えるコミュニケーションの工夫を柱とするものに関わっています。最近,新聞やテレビなどでも取り上げられた,国立国語研究所の「病院の言葉を分かりやすくする提案」の企画推進役を務めました。
もう1つは,医療に応用できるポライトネス*1理論です。これは言語学や心理学の理論なのですが,これを,おそらく世界で初めて医療コミュニケーションに応用して,医療者の方々と一緒に研究を進めています。
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