連載 病院のことばとコミュニケーション――ポライトネス・ストラテジーの視点から・4
あなたの病院の敬語は適切ですか? それとも過剰?―敬語を効果的に使って信頼関係・協力関係を築く
吉岡 泰夫
1
,
有満 憲恵
2
1別府大学大学院文学研究科・日本語センター
2済生会熊本病院
pp.284-290
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101448
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はじめに
今回は,患者・家族と医療者が医療チームとして信頼関係・協力関係を築くためには,どんな敬語をどのように使えば効果的かを探っていきます。患者さんは医療者の皆さんにどんな敬語を使って話してほしいと期待しているのでしょうか。また,敬称は「~さま」「~さん」のどちらを使ってほしいと思っているのでしょうか。患者・医療者双方を対象に調査を実施しました。調査結果を踏まえて,ポライトネス・ストラテジーとして効果的な敬語の使い方について考えていきます。
敬語はポライトネスの効果的な表現手段です。前号の本連載では,「過剰な敬語の使用を控えて,患者との心理的距離を近づけるように話す」という親近方略(ポジティブ・ポライトネス・ストラテジー)と,「適切な敬語を使って患者に敬意を表す」という不可侵方略(ネガティブ・ポライトネス・ストラテジー)があることを,具体例を添えて示しました。敬語は使い方しだいで親近方略にも不可侵方略にも,慇懃無礼にもなるのです。
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