- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
名古屋セントラル病院(以下,当院)は,東海旅客鉄道株式会社(以下,JR東海)の附属機関です。つまり,当院の職員はJR東海の社員ということになり,当院の人事制度もJR東海の人事制度の枠組みのなかで位置づけられています。鉄道と医療とは全く異なる業種ですから,完全に同じ人事制度が通用するわけではありませんが,安全が最重要である点,公共的サービスを提供する点で,似通った点も多々ありますし,何よりも人事制度というものが企業や事業体を円滑にそして創造的に活動させていくきわめて重要な手段である点で,共通性が見出せます。人事制度とその運用は,基本理念,すなわち企業や事業体のカルチャーを表わすものといっても過言ではないと思います。
そうした意味で人事制度は重要です。常に現在と将来を見据えて,適時適切にブラッシュアップしなければなりません。人事制度は広範で,かつ社員の生活に直結していますから,膨大な規程類の改定作業だけでなく,労働組合などとの交渉や社員への周知徹底も必要であり,改定することはほんとうに大変です。ひとたび世のなかから大きく乖離すれば,社員の求心力はなくなり,仕事の質は急速に低下します。
私は,JR東海に入社する前の銀行時代も4年半にわたり人事部に所属し,人事考課や異動などの業務に携わっていましたが,それと比較してもJR東海の人事制度が特殊なものと感じたことはありません。前の銀行でも今のJR東海においても,人事に携わる者として,人事制度を現実の個々の人たちに実際にどのように適用・運用していくか,そこに多大なストレスを感じ,また達成感を感じていました。
JR東海は2006(平成18)年に人事制度を抜本的に改定しました。その概要をご紹介することで皆さんの参考になる点もいくつかあろうかと思います。また,その改定されたJR東海の人事制度の枠組みのなかで,当院はどのような対応をしようと考えているかについても,看護部門を中心に説明したいと思います。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.