臨床メモ
ある種のセントラル・ヒーティングとカゼ
浦田 卓
pp.424
発行日 1970年4月10日
Published Date 1970/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203040
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昭和元禄のお蔭だと思われるが,ここ数年まえから,暖房を新たにまたは改造して,セントラル・ヒーティングにする家庭が,ポツポツ現われている.そういった家庭に往診して,しばしば訊かれるのは,セントラル・ヒーティングに暖房を切り換えてから,一家揃ってカゼにかかりやすくなり,しかも,そのカゼが重いようだが,セントラル・ヒーティングとカゼのひきぐあいとの間に,なにか関係があるのではないか,ということである.
ある患家では,いままでほとんど市販のカゼグスリで簡単にカゼがなおっていたのに,セントラル・ヒーティングに切り換えてから何度も医師に往診を頼むようになった,とグチをこぼす.さらに,べつの患家では,1人がカゼをひくと,それがなおりきらないうちにだれかしらがカゼをひき,家族一同をぐるりと一巡すると,はじめに
ひいたものが,またカゼをひきなおす,まるで暖められた空気が各部屋をぐるぐる回るのと軌を一にしているようだ,とグチるのである.
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