連載 今に生きるあのヒトコト・5
“集団は,リーダーになる者が何をめざすかで決まる”
宇都宮 宏子
1
1京都大学医学部附属病院地域ネットワーク医療部
pp.401
発行日 2008年5月10日
Published Date 2008/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101203
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福井で生まれ,「人に関わる仕事がしたい」という幼い頃の想いは,さまざまな経験を通して看護師をめざす夢につながった。「看護学を学ぶ時代だ」と書かれた何かの雑誌を読み,医療技術短期大学に入学した当初から,教員たちから「看護の自立」ということを言われた。思えば医療の現場で看護の専門性を考えながら行動する基本があの時代にあったように思う。転勤のある人と結婚して,大阪・函館・高松そして京都と4か所で生活したが,看護師は続けたくて,子どもを育てながらできる範囲の仕事を続けた。
函館時代の同僚の医師は,「集団は,リーダーになる者が何をめざすかで決まる。個々人のレベルで決まるのでない」と言った。看護師の仕事は,病棟も外来もそして高松時代からのめり込んだ訪問看護の現場でも,必ずチームで動く。チームとしてどんな看護をめざしたいのか,何を大事にしたいのかを日々の看護場面でお互いが言語化して共有するという文化の醸成が重要である。また,日常業務をこなすためのミーティングからもう一歩踏み込んだ,患者全体を捉えたケースカンファレンスの場面で,互いの看護観や,患者中心に軸があるかどうかが見えてくる。
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