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連載 海外文献紹介—東京大学医学部地域看護学教室からの発信・13
末期がん患者に提供されたサービスに対する介護者の満足度は何によって決まるか
Walid Fakhoury, Mark McCarthy et al : Determinants of Informal Caregivers' Satisfaction with Services for Dying Cancer Patients, Social Science & Medicine, Pergamon Press, 42(5), 721 731, 1996.
山口 智子
1
,
河野 あゆみ
1東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻修士課程
pp.62-65
発行日 1997年1月10日
Published Date 1997/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902846
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はじめに
この20年間の間に,末期がん患者に対する専門的なスタッフによる緩和ケアサービスは広く行われるようになってきた。イギリスとアメリカでは緩和ケアに対する評価研究が広く行われているが,中でも患者や介護者のサービスに対する満足度のアセスメントが数多く実施されている。しかし,末期患者に行われたサービスの満足度の決定要因についての調査は行われてこなかった。末期患者のケアには,ケアの結果が死亡であること,情緒的・心理的サポートがケアの要素として不可欠であること,多職種からケアが提供されることなどの特徴がある。また末期患者の満足度調査の場合,患者の死後行われたケアについて介護者に質問することが多いが,死別後の情緒的混乱などによりケアの評価が左右されることも考えられる。したがって,末期患者に提供されたサービスに対する介護者の満足度が何によって決定されるかということは,満足度調査の結果を解釈していくうえで必要な情報である。
この論文は,死亡した患者に最後の1年間に提供されたサービスに対する介護者の満足度がサービスの特性の反映なのか,それともサービス以外の特性により決定されるのかについて論じたものである。
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