連載 医療コンフリクト・マネジメント 医療メディエーションの実践・9
メディエーションへの「懐疑」を考察する
中西 淑美
1
1大阪大学コミュニケーションデザイン・センター
pp.1094-1098
発行日 2007年12月10日
Published Date 2007/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101097
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
連載の第1回で記したように,コンフリクト(葛藤・対立・紛争)は,人間が生きている限りミクロなレベルからマクロなレベルまで存在する。医療者側と患者側との区別なく,コンフリクトの多くは,当事者の認識の齟齬を前提として展開していく。その当事者である患者のなかには,過度の安心・安全希求型,自己中心型,金銭目的型,身体疾患からの八つ当たり型,精神疾患との境界型や精神疾患型,何でもクレーマー型,などと感じられるケースもある。
こうしたケースの患者とのコンフリクト・マネジメントにも医療メディエーションを行なうことについては,権威主義的・優越主義的な専門職像(すべての職種を含む)をもっている病院管理者の多くは,「複雑化する現場のさらなる疲弊を促進する」という理由のもとに,一刀両断的な否定意見をもつことが多い。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.