連載 医療コンフリクト・マネジメント 医療メディエーションの実践・12【最終回】
医療メディエーションの課題と可能性―win-winをめざして
中西 淑美
1
1大阪大学コミュニケーションデザイン・センター
pp.238-242
発行日 2008年3月10日
Published Date 2008/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101162
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本連載も,いよいよ最終回となった。メディエーション(対話による紛争解決)は,医療コンフリクトマネジメントの手法の1つであり,医療者対患者といった構図だけではなく,医療者間にも幅広く運用できるものである。欧米では,医療職のストレスマネジメントや職種内のコンフリクト(対立,紛争)にメディエーションが用いられることも多く,また,診療の場面で,インフォームド・コンセントや生命倫理的問題へのメディエーションとしても汎用されている。紛争処理といった局面だけでなく,医療の質改善・安全管理のなかの対自身・対人関係マネジメントとしての,医療メディエーション概念があることを確認しておきたい。
医療メディエーションとは,そのような包括的な視野に立った,患者の安心安全と医療従事者の労働安全をも見つめる,安価で迅速な中立性を保持する対話のプロセスなのである。もちろん,この「対話」が単なるコミュニケーション論でないこと,そして,ごまかし論法では決してないことは,連載のなかで述べたつもりである。
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