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はじめに
筆者が国立保健医療科学院安全管理研究科での研修受講時に所属していた財団法人脳血管研究所美原記念病院(以下,美原記念病院)は,脳・神経疾患を専門とする189床のケアミックス型の施設である。当時は,薬剤部長,治験事務局長,セーフティマネジャーとして安全管理体制構築などを担当していた。
手探り状態で安全管理を始めていたため,危機管理,安全管理,質管理など多岐にわたるカリキュラムが準備された安全管理研究科への期待は高く,世界各国の医療安全への対応状況から,実際に医療および医療以外の各分野のエキスパートによる安全に関する現況や対応策の講義,分析手法の演習,そして先進的な取り組みをしている医療機関の見学は大変参考になった。また,研究テーマとして分析手法の1つであるFMEA(Failure Mode and Effects Analysis:失敗モード影響分析法。事前に予想されるあらゆる不具合様式を列挙して,その中から周囲への影響度の高い不具合様式を抽出し,事前に対策を講じようとする信頼性解析の手法)を用いて自院の処方から投薬までの工程分析を実施したことは,その後の現場での取り組みに大変役立った。
研修を修了して病院に戻った後,薬剤部長に加え本格的に医療安全管理者としての仕事が始まり,さっそく研修で学んだ知識や技術を活用して,安全管理組織の再構築,報告システムの見直し,職員研修会の企画・開催などを担当した。本稿では,薬剤師の立場から,特にヒヤリ・ハット報告が多い医薬品に関する院内での対応を中心に,その取り組みについて紹介する。今回紹介する内容は,研修受講時に在籍していた美原記念病院での活動が中心である。
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