特別記事
院内倫理コンサルテーションの導入と効果―一般病院で求められる倫理委員会の機能とは
三浦 靖彦
1
,
佐野 広美
2
,
瀬下 律子
3
1医療法人財団慈生会野村病院
2医療法人財団慈生会野村病院外科
3医療法人財団慈生会野村病院看護部
pp.978-984
発行日 2007年11月10日
Published Date 2007/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101068
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はじめに
今日の医療現場では,終末期患者への病名や予後の告知の問題,延命治療の適応・中止などに代表される医療倫理の重要性がクローズアップされている。これらの問題にタイムリーに対処していくためには,大学病院などに設置されている,研究計画上の倫理問題の審査が主たる業務である倫理委員会(米国におけるInstitutional Review Board;IRBに相当)では対応が難しく,医療における諸問題の倫理的側面について検討を行なう,Hospital Ethics Committee(HEC)としての機能をもった倫理委員会が求められている1)が,これを実践している医療施設は非常に少ない2)。
野村病院(以下,当院)は,地域における総合診療の確立をめざしており,緩和ケア病棟の施設基準は有していないものの,一般病棟で治療する終末期患者に対する緩和医療の提供に尽力している。そのような背景のなか,2006(平成18)年末からHEC機能を充実させた倫理委員会を設立し,徐々にではあるが機能し始めているため,その経緯を紹介する。
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