特集 急性期病院におけるせん妄ケアの改善とシステム化
自分から変わる,今から変える「せん妄ケア」の考え方
綿貫 成明
1
,
酒井 郁子
2
,
寺内 英真
3
1藍野大学医療保健学部看護学科
2千葉大学大学院看護学研究科看護システム管理学専攻ケア施設看護システム管理学
3岐阜大学医学部看護学科
pp.566-573
発行日 2007年7月10日
Published Date 2007/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100980
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はじめに
せん妄のケアについて徐々にエビデンスが構築されつつあるなかで,エビデンスの活用については,組織管理面でも組織文化面でも多くの課題を抱えている場合が多い。そのような場合,看護師のせん妄ケアに関する知識不足や,他職種との連携不足,抑制以外の代替手段の活用不足などに関連して,看護師の「せん妄のケアに伴う困難感」が高まる。
せん妄のケアとして実際に体内環境の調整,リスクアセスメント,環境調整,睡眠確保,安全確保などが実施されているが,看護師の意識調査の回答分析では,「せん妄のケアに伴う困難感」の軽減と関連の高い要因として,1)ケアのガイドライン設置,2)チームカンファレンスの定期的な開催,3)ケア提供者の職務責任範囲の明確化,4)個人および組織内の学習機会の多さが挙げられている1)。
せん妄の観察,アセスメント,ケアのレベルを上げるために,本稿では,客観的なデータや理論的根拠,患者・家族のニーズを総合した「根拠」にもとづく看護実践を根付かせるための,組織管理上の視点について論じる。
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