連載 看護師の業務と役割の模索―厚生科研「諸外国における看護師の新たな業務と役割」から・8
大韓民国の場合
津田 万寿美
1
1兵庫県立看護大学附置研究所推進センター
pp.658-662
発行日 2003年8月10日
Published Date 2003/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100888
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はじめに
人口約4650万人の大韓民国(以下,韓国)の保健医療環境には,人口構造の変化,人口の都市集中,医療保険財政の赤字が大きな影響を与えている。また,医学・医療技術の進歩と医療保険の普及は,国民の医療需要を質的,量的に変化させている。韓国政府は,これらに対応するため,高齢者に対する保健事業,訪問保健事業,医療機関の適正配置,医薬分業の完全実施など,医療制度の改善と事業政策を推進している。
韓国では,看護師の早期退職者が多く,免許所得者の就業率は約60%と推定され,看護師の安定供給は課題の1つである。看護師の教育に目を向けると,現任教育として多様なプログラムが病院や職能団体,大学院教育において組まれており,臨床で働きながら専門性の高い教育を受けられる環境が整っているなど,充実している。また,専門看護師の位置付けを,法・制度的に整備し,看護師の社会的役割の明確化,業務拡大を積極的に推進しており,今後の日本の看護のあり方を考えていく上で参考とすべき点があると考える。
本稿では,韓国の看護教育・看護業務の現状を,文献やインターネット資料および在日の韓国の看護研究者の助言を得てまとめたので報告する。
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