連載 看護師の業務と役割の模索―厚生科研「諸外国における看護師の新たな業務と役割」から・9
中華人民共和国の場合
津田 万寿美
1
1兵庫県立看護大学附置研究所推進センター
pp.744-749
発行日 2003年9月10日
Published Date 2003/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100905
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はじめに
中華人民共和国(以下,中国)は,国土面積が約960万km2(台湾省を含む)と世界の陸地面積の約7%を占め,総人口は約13億人と世界人口の約20%強を占める大国である。人口の約90%を占める漢民族のほか,55の民族からなる多民族国家でもある。
1959年の国家設立以後,大躍進運動の失敗(1950年代末),文化大革命(1966~1976年),華国鋒の洋躍進の失敗(1970年代末)など,多くの困難や混乱を経て,1978年に改革開放政策を,1992年には社会主義市場経済を導入して以来,高い経済成長を続けている。
改革開放に至るまでの政治的混乱は,看護分野の発展の中断,後退をも招いた。現在,看護職の増員と看護教育レベルの向上は,中国政府の最優先事項の1つとなっており,大学や大学院の整備や,諸外国との積極的な交流を通して看護教育の改革と発展を図っている。
大きな変革期にある中国の看護師の教育や業務,役割の現状はどのようなものであろうか。中国の看護師への質問紙調査や日本の大学院に留学中の中国人看護師からの聴き取り,文献やインターネットによる資料検索により,中国の看護の一端を知る機会を得たので報告する。
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